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ご相談にあたって

高次脳機能障害の申請

交通事故が原因で高次脳機能障害が生じた場合には、後遺障害の等級認定を受けることができます。高次脳機能障害が残った場合に認められる後遺障害の等級は、1級から9級までに分かれています。この等級認定の差は、微妙な部分もありますので、適正な後遺障害等級の認定を受けるためには、是非弁護士に相談されることをお勧めします。

申請イメージ
高次脳機能障害の申請ポイント
高次脳機能障害は、交通事故などにより、脳が物理的に傷つくことにより生じます。

高次脳機能障害は、その障害の程度によっては、本人も障害があることに気づいていないこともあります。一見、日常生活を普通に送っており、交通事故以前と変わりがないように見えても、実際には高次脳機能障害が発生している可能性もあります。場合によっては、事故後数か月が経過してから症状が顕著になることもあります。

たとえば、交通事故に遭った後、以下に挙げるような症状がみられる場合、高次脳機能障害の可能性があります。

  • 新しいことが覚えられず、覚えているはずの記憶と記憶が繋がらないなどの記憶障害がみられる
  • 事故前と比べると落ち着きがなくなった
  • 段取りを組んで物事を進めることができないなどの判断力の低下がみられる
  • 事故前と比べてちょっとしたことで怒りを見せるなど、感情の抑制力に低下がみられる
  • 事故前にはなかった、常識外とも思える事柄への強い執着を見せるなど、社会生活に適応できていないように見える
申請時のポイント1「画像診断」

脳挫傷、脳内血腫、頭蓋骨折や脳の圧迫、びまん性軸索損傷等を明らかにするため、脳のCTやMRI、PETなどの画像は重要な資料になります。画像診断は、事故後早い時点で受けておくことが望ましく、治療の経過に合わせて、画像上の変化を追うことも重要です。

もっとも、事故直後の画像診断のみで損傷が確認できるとは限りませんし、症状固定後に撮影された画像で損傷が確認できることもあります。

治療中の画像が無いからといって、申請をあきらめる必要はありません。

申請時のポイント2「専門的検査」

高次脳機能障害が軽度の場合、通常の検査のみでは障害が確認できないこともあります。専門医に相談し、「神経心理学的検査」を受けていただくことで、障害を明らかにすることができる場合があります。

神経心理学的検査は様々な検査がありますが、いくつかご紹介します。

  • WMS-R(日本版ウェクスラー記憶検査)
    総合的な記憶検査で世界的に最も使用されている検査
  • WAIS(ウェクスラー成人知能検査)
    全般的な脳機能検査で世界的に使用されている成人向け検査
  • WCST(ウィスコンシン・カード・ソーティングテスト)
    前頭葉機能、実行機能を評価する検査
申請時のポイント3「メモ」

高次脳機能障害には、記憶障害、失認症、注意・集中力障害、遂行機能障害、行動障害、病識欠如など様々な症状があり、日常生活に多様な影響がでます。

たとえば、

  • 周りの人の名前や顔を覚えられない
  • 知人や親せきの名を思い出せなかったり、混同したりする
  • 約束を覚えられない
  • 眼鏡や財布など、日常的に使う物の置き場所を忘れてしまう
  • いつも行っていた場所への道順を思い出せない
  • 言われたことを覚えることができず、何回も聞いてしまう
  • 毎日の繰り返しの単純行動(歯磨き、毎食後の服薬など)を忘れてしまう
  • 公共交通機関を利用できない
  • ひとつの作業を長時間続けられなくなった
  • イライラしてすぐ怒るようになった

などのような行動症状です。

メモイメージこれらの例を見れば、一般的に、改めて指摘するまでもなく、「できる」と期待している行動が、実際には全く「できない」という齟齬を生じることがお判りいただけるかと思います。このため、人間関係がうまくいかなくなったり、仕事でミスを繰り返して退職せざるを得なくなったり、新たに就労することができなくなる、などの社会的な支障をきたしてしまうことがあります。

ご家族など身近な方が、事故の前後でご本人の日常生活に変化を感じたら、ご本人の様子を観察し、こまめにメモを残してください。事故後の変化について、ご本人には自覚が無いことが多くみられます。変化を具体的に認識できるのは、身近で生活をしているご家族です。

このメモは、自賠責保険への等級申請時に提出の必要がある「日常生活状況報告書」を作成する際の手助けになります。

申請時のポイント4 「専門弁護士」

高次脳機能障害の等級申請・審査は、すべて診断書、意見書等の書面で行われます。

診断書の作成にあたっては、主治医に詳細な症状を説明し、検査を実施し、その結果を記載してもらう必要があります。事故に遭われたご本人の、日常生活の様子についても、主治医に詳細に伝える必要があります。

弁護士は、主治医と患者本人、ご家族の橋渡しをし、双方に必要な情報を提供し、診断書の記載された内容に漏れがないかなどの確認等を行います。

また、ご本人やご家族から、詳細にご事情を聴き取って書面化するなどし、医師に適切な情報を提供し、他方、医師の医学的意見を、ご本人やご家族にも理解しやすいようにかみ砕いてご説明することで、主治医と患者本人、ご家族とのコミュニケーションをスムーズにするようなサポートを行います。

さらに、作成された診断書等に加え、必要に応じて適正な認定のための資料(たとえば、救急搬送記録、刑事記録など)を収集し、これらの資料に記載された症状等に法的な評価を加えた専門家弁護士としての意見書を、高次脳機能障害の等級申請、審査の添付資料とし、より詳細かつ具体的な審査を求めることにより、適正な等級認定を得ることに尽力いたします。

高次脳機能障害に関する当事務所事例紹介
60代の主婦(女性)が、裁判で約1億4000万円(治療費除く)の損害額を認定された事案

道路横断中にはねられ、脳挫傷、びまん性軸索損傷を負い、高次脳機能障害(1級1号)認定。

当事務所が治療中から受任。
介護のための家屋改造、自宅での実際に行う介護の必要等についてもアドバイス。
被害者請求を行い、後遺障害等級1級1号の認定・自賠責保険の回収後、民事訴訟を提起。
最終的に、訴訟上の和解が成立し、和解金と自賠責保険の合計約1億4000万円での解決。

事故時小学校低学年の男児が、脳挫傷等を負った事例

道路横断中にはねられ、頭蓋骨骨折、急性硬膜下出血、外傷性脳出血、脳挫傷等を負い、高次脳機能障害(7級4号)認定。

事故後、小学校に通ううちに、時折コミュニケーションが困難なことがあり、社会性の問題もみられたことから、ご家族から当事務所に相談。

医師面談等を経て、各種神経学的検査を行ってもらった上で、被害者請求を行い、後遺障害等級第7級4号の認定・自賠責保険の回収。